2021年11月20日に、DEAFブリッジスタッフが集まって、久しぶりにリアルミーティングをした。
大阪にある某コワーキングスペースのリビングを使ってミーティングをする予定だったが、急遽会議室を用意してもらって、ミーティングをすることになった。
その経緯を皆さんに共有したいと思う。
DEAFブリッジ監査である松島(聴者)がフロントスタッフにリビングでミーティングする事を確認した際、リビングでは他の利用者もいることから、コロナ対策のためマスクが必須であることをフロントスタッフからお願いされた。
「私たちの中にはDEAF(聴覚障がい者)のメンバーがいるため、マスクをしているとコミュニケーションが取りづらいんです」
そうだったのですか。
もし宜しければ会議室をお貸しいたしますよ。
聴覚障がい者のことを松島(聴者)がスタッフに説明したところ、急遽会議室を貸してくれることになった。
さらには、本来なら会議室は20時までしか使えないが、コミュニケーションに時間がかかることも考慮していただき、特別に22時まで会議室を貸してくれることになった。スタッフ一同、きちんと感染対策を行なったうえで、みんなで手話、手話通訳、文字起こしコミュニケーションツール等を活用してミーティングをすることが出来た。
この経緯は、聴者である松島がDEAFの特性を理解していたからこそ、フロントスタッフに説明することができたわけで、フロントスタッフ側も「DEAFがマスクを付けた状態ではコミュニケーションが取りづらい」ということを、今回初めて知ったと思う。
「理解してくれたから、今回のように特別に時間を延長して貸し出ししてくれた」、という経緯である。
コロナ禍によるマスク社会により、コミュニケーションの壁に苦しんでいるDEAFがたくさんいるのが現状である。
さらには、DEAF同士でさえ、マスクしたまま手話を使って会話しても、コミュニケーションにずれが起きたりしている。
そもそもなぜDEAFはマスク付けたままではコミュニケーションが取りづらいのか?
「DEAFは、手話というコミュニケーション手段を使って会話をする」
というのが一般的に社会では認識されている。
しかし、手話は「手指を動かして相手に意思を伝える」だけではない。
手指だけでなく、顔の表情、口の動きも手話を使ううえで大事な要素なのである。
「手話は手を動かすだけでなく、表情も併せて使うことで伝えたい内容が変わってくるものである」ということ。
つまりDEAFは、手話だけでなく顔の表情や口の動きも見て、相手の言いたいことを読み取っている。
そのため、マスクを付けていると顔の表情が見えなくなり、コミュニケーションに苦しんでいる聴覚障がい者は多い。
それらのDEAFにおける社会課題を解決しようと取り組んでおられる団体や企業も存在している。
DEAFと聴者の間でうまれる『差別』は、実は『理解不足』なだけではないか?
以前、テーマパークでの乗り物でDEAFが聴覚障がいを理由に乗車拒否されたことにより、日本中のDEAFから「差別だ!」と批判を受けて、ニュースや話題になったことがあるが、DEAF側が問題を『差別』として受け止めてしまうと、『相手に謝罪してもらうこと』がゴールになってしまうため、いつまで経っても社会は変わらない。
問題が『理解不足』であれば、『理解を深めて対処』することがゴールになるため、少しずつでも社会を変えていけることができるとDEAFブリッジは信じている。
NPO団体DEAFブリッジは、
・聴こえない人
・聴こえる人
・手話が出来る人
・手話が出来ない人
・手話に興味がある人
・手話に興味がない人
いずれの立場も関係なく、「聴こえない人と聴こえる人の架け橋」となり、本質的な問題を解決をするために発信を続けていきます。そして、架け橋を渡る人を増やし、お互いに歩み寄れる社会にしていく活動を目指します。
筆者:朝比由美